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宇宙開発 - 業種別ソリューション

業界別ソリューション

弊社の商品群の中でも一般的に知られていない商品や用途例を業界別に御紹介いたします。

宇宙開発

商品名:PEEKピン(※JAXA様、オービタルエンジニアリング様 共同研究案件)

MLI断熱材シートの接合を手軽に効率化し、同時に断熱性能をアップさせる方法

 航空宇宙開発において、極低温環境での断熱材としてMLI(Multi Layer Insulation)が用いられています。このMLIは多層構造となっており、複数のフィルムをミシンで縫製することで製作されています。
MLIのミシン縫製は非常に高い熟練度が求められる作業です。またフィルム相互の締結方法としては、断熱性能維持のためには一定の層間の距離を保つ必要があるため、縫製箇所を強く圧縮し各層が接触してしまうミシン縫製は必ずしも理想的な方法とは言えません。

 そこでMLIの断熱性能を十分に引き出し、誰でも簡単にMLIの各層に一定のたるみやゆるみを持たせて締結を行う部材として、当社のPEEK樹脂製のタグピンが注目されています。
小型のハンドツールを使ってMLIにPEEKピンを打ち込むだけでMLIの締結・固定が可能です。
PEEK樹脂は通常のエンプラよりも幅広い(低温から高温まで)温度環境で安定した物性を保ち、耐薬品性や耐放射線性も優れています。

 

商品名:スペーサー(※JAXA様、オービタルエンジニアリング様 共同研究案件)

断熱材の断熱性能を効果的に上げる部材の研究開発(ODM)の実績

一定の空気層を保って縫製よりも効果的に断熱材MLI(Multi Layer Insulation)を締結・固定できるPEEKピンですが、フィルム1枚1枚は”緩みやたるみ”を持っています。このフィルム層間が直接接触すると層間で熱伝導が生じてしまい断熱性能がロスするため、フィルム層間に確実に一定の層間距離を保てる構造にすることがより高い断熱性能得るポイントになります。

MLIの各フィルム層間を一定に保つために、層間に挟むコイル状の部材を開発しました。
一つ一つの間にフィルムを挟み連結することでフィルム同士の接触を防ぎ、さらにコイル状の形状で伝熱パスを長く設けることで層間の熱伝導の低減にも貢献しております。

このような複雑な形状は一般的な樹脂であっても射出成形で製作することは非常に難しいのですが、弊社独自のアイディアと技術を活かし、PEEK樹脂での射出成形を実現しました。

※イラスト画はイメージです